Steve Jobs 死去 06 Oct 2011
やはり書かずにはいられない。 あの時、商業デザインの現場から離れる決心がついたのは Macintosh があったから。そして結婚し、子どもたちが生まれ、今の生活がある。その間、自由で個人的な立場からデザインに関わる事を可能にしてくれた道具だ。Macintosh が無ければ M+ FONTS の開発に着手する機会も得られるはずが無かった。
自分が Apple ユーザになったのは比較的遅めの 1988 年、Macintosh SE から。もちろんそれ以前から Apple II の存在は知っていたが、特に強い思い入れは無い。iPhone はおろか iPod も持っていない自分にとって、Apple は Macintosh を意味する。Apple 社内で何があったにしても、Steve Jobs がいなければ Macintosh が Macintosh として世に出る事は無かった。
Macintosh はその宣伝文句の通り、コンピュータの専門家ではない者にとっての知的自転車、個人の能力を増幅する素晴らしい道具になった。翌 1989 年から Adobe Illustrator 88 を使い始め、その思いは更に強くなった。Macintosh と Illustrator で作成したデザインは、デジタルデータとして劣化する事の無い複製を可能にした。それは永遠の生命を得た事と等しい。その事に興奮し、夢中になった。
一台の Macintosh の中にデザイン作業の環境が構築され、個人的な創造の場が生まれた。プロフェッショナルの現場を離れてもデザイン作業を続ける事ができる、それが嬉しかった。ありがとう。今の自分があるのは、あなたのおかげです。